東西を股にかける少数精鋭集団「MLクリエーション」の挑戦

東西を股にかける少数精鋭集団「MLクリエーション」の挑戦

「M-1グランプリ」や「キング・オブ・コント」など、いわゆる「賞レース」と呼ばれる大会を制する芸人たちは、その多くが大手のお笑い事務所に所属している。事務所の規模が大きれば大きいほど、メディアに露出する機会が増えることは言うまでもない。しかし、今回紹介するコンビ「ヤケンマシン」は、創設されて間もないお笑い事務所に所属し、活動している。彼らが現在の事務所を選んだ理由とは? 今月末に開催される事務所ライブの見所と共にお伝えしよう。

(コンビ「ヤケンマシン」、左:中山 右:スミヤケンジ)

 

―――事務所ライブを開催されるということですが、まずは、みなさんの所属事務所である「MLクリエーション」についてお話して頂けますでしょうか。お笑いファンの私も聞き慣れない事務所です。

 

中山:MLクリエーションは一昨年の末にできた事務所で、東京と大阪の2箇所に所属芸人がいるんです。東京は僕らヤケンマシン、大阪はハチミツラジカル、パーラー、ドライブドライブ、計4組のコンビでやらせて頂いています。2ヶ月に1回くらいのペースで事務所ライブを開催しているんですけれど、開催場所はほとんど大阪ですね。普通の(お笑いの)ライブとはちょっと違いまして、イベント系といいますか、お祭りで屋台をやりながら途中お笑いライブやったりとか、色々なものに手を出しているのが特徴の事務所なんです。

 

―――屋台をやりながらお笑い!? かなりチャレンジングですね。

―――事務所の活動拠点が東京にも大阪にもあるということでしょうか?

 

中山:そうですね。今の事務所に入って一番思ったのは、僕らは東京で活動しているんですけれども、東京の芸人って、大阪で舞台に立ったりとか、イベントに参加するっていう機会が少ないんです。だから、うち(MLクリエーション)ならではと言うか、大阪でも活動ができるので、東京以外の場所でファンを作れるというメリットがあるんです。あとは、大阪の芸人さんに知り合いの方もいっぱいできるので、色々と情報交換をしたりとか、相談を出来る方が増えたというのは嬉しかったりしますね。

 

―――新設されたばかりの事務所ということですが、おふたりはどのような経緯で所属を決めたのでしょうか?

 

スミヤ:うちができるぐらいの時期に、ちょうど僕らも「どこかに所属したいな」という話をしていたんです。それで、色々な人に相談する中で、大手の事務所も狙ってはいたんですけれども、やっぱり芸人の数がすごく多いので「回ってくる仕事とかは少ないよ」と耳にしていて……。そんな折、みんとんさん(MLクリエーション代表)に声を掛けて頂きまして、色々なお仕事を作って頂けるというお話を聞いて、「ちっちゃい仕事でも早めに経験したいな」という気持ちが強かったので「所属させてください」とお願いしたんです。

 

中山:僕たちコンビとしては、この2年間でかなり色々なことをさせて頂いたな、って思いますね。他の(事務所にいる)同期と比べたら、彼らがやってきていない経験をしているので、その辺に関しては自信があります。同じようなチャンスを与えられた時に、「自分たちならできるな」っていう自負がありますね。

 

―――ベンチャー企業のようなフロンティア精神を感じます。

―――(MLクリエーションは)まだ少数精鋭という印象を受けますが、おふたりは他のコンビについてはどのように考えていらっしゃいますか?

 

中山:ライバル意識を持っているか、みたいなことですかね?

 

―――はい。

 

スミヤ:大会なんかだと、やっぱりライバルにはなりますけれども、企画とかコーナーでは協力しあう立場なので、一概に言えないですね。やっぱり、僕らにとってライバルは「自分」ですね。本当のライバルは、さっきまでの自分なんですよ。

 

中山:死ぬほどダサいな……。

 

スミヤ:っていうのを、前にベッキーが言っていたんです。

 

中山:べッキーから取るな。芸人から取れ!

 

―――実際問題、ライバル視している相手はいらっしゃる?

 

スミヤ:事務所内でライバルというのは、僕は考えたことはないですね。中山は?

 

中山:これはもう完全に、「ハチミツラジカル」の八木澤さんですね。スタンスがほとんど一緒というか、やろうとしていることの立ち位置が自分と似ているんです。多分、自分でそう思っているだけじゃなくて、周りからもそう思われている。だから、ブッキングの時に僕と八木澤さんは同じ枠に入れられているんですよ。「誰をここに入れるか」ってなった時も、その枠には「自分か八木澤さんか」っていう共通認識があるんです。ただ、一番仲の良い相手でもありまして、よく電話したり相談しあったりもしているので、「仲間であり、目標であり、ライバルでもある」っていう感じですかね。

 

―――切磋琢磨しあえるというのも、少人数ならではだと思います。

―――スミヤさんは、「本当のライバル」であるご自身と戦われている?

 

スミヤ:半分冗談みたいなところもありますけど、まあ、そうですね。僕は結構イジられることが多いんですけれども、イジられた時の返しがちょっとまだ弱いというか……。多分、(自分に)自信が持てていないんだと思います。他人どうこうよりも、まず自分ができていないので、そこを磨いていこうかな、と。イジられた時の鉄板の返しとか、そういうのをちゃんと作っていかなきゃみたいなのもありますし。

 

中山:「イジられキャラが返しを考えている」っていうのは、あんまり聞きたくないなあ。ネタばらしじゃん。

 

スミヤ:いやいや、みんな考えてるよ。あんまりウケなかった時のことも考えているし、寝ずに毎日考えてる。

 

中山:ウソつけ、しっかり寝てるだろ。

―――それでは最後に、今回のライブの見所をお聞かせ願えますか?

 

中山:過去にも何回か事務所ライブをやっているんですけれど、今回は初めて「コンビごとにガチンコで対決する」というテーマがあるんです。ハロウィンの時期なので、ハロ“ウィン”だけに“勝つ”じゃないですけど、「誰が一番すごいのか」を争います。ネタや企画はもちろん、ハロウィンなので仮装をして、体を張ったりもしながら、この事務所で一番面白い芸人を決めるライブになります。

 

スミヤ:男ふたりで、女性が見たらドキドキしてしまうような衣装を考えているので期待していてください。

 

中山:え、それ俺も入ってるの?

 

スミヤ:入ってる。

 

中山:決めてくれてたんだ。じゃあ、楽しみにしています。

 

スミヤ:だから、その、小道具代としてちょっとお金を出してもらえると……。

 

中山:お金の話とかするな!

 

中山:あとは、そうですね。東京と大阪の2箇所で活動しているから、全員が揃う機会っていうのは、この事務所ライブでしかないんですよ。それが2ヶ月に1回のペースしかないので、今回を逃すと次は年明けのライブになってしまいます。大阪のお客さんたちにとっては、2018年に僕たちを見られる最後のチャンスなんです。

 

スミヤ:大阪の人たちからしたら、今回、僕らが1番レアだと思うんです。だから、差し入れ待っています。

 

―――ありがとうございました。

MLクリエーション事務所ライブ『HELLO WIN。』

2018年10月31日(水)
18:30開場/19:00開演/21:00終演
@道頓堀ZAZA Pocket’s

チケット:前売・当日1500円