お笑いライブで観客が0人だったら芸人はどうするのか?

お笑いライブで観客が0人だったら芸人はどうするのか?

今回お話をうかがったのは、サンミュージック所属のお笑いコンビ「シャイニングスターズ」の廣田さん。芸歴15年で初めて経験した衝撃の体験とは?

「この前、中野の端っこの方にある『Studio twl』という小さな劇場でお笑いライブのMCの仕事があったんです。会場に入って、楽屋で相方と一緒に開演を待っていると、開演3分前くらいになって周囲がざわつき始めたんですよ。楽屋には舞台の様子が見えるモニターがあるんですけど、それで見るとお客さんが誰もいないんです。そこで主催者の方が僕たちのところに来て、他の芸人がいない場所まで連れ出してから、『すいません。今のところ、お客さんゼロです』と言ったんです。『ここから、2パターンあります。このまま30分くらいなら開演を遅らせてもいいので、お客さんが来るのを待ってからライブを始めるか、すぐに出ていただいて、誰もいない会場でMCを始めていただくか。その2択なんですけど、どっちにしましょうか?』と言われまして。でも、誰もいないところで始めても仕方がないじゃないですか。だから、とりあえず30分は待たせてもらうことにしたんです。

 

その30分を待ってる間に芸人みんなでSNSとかで拡散したんですけど、結局1人も来ないまま、また主催者さんが僕たちのところに来て、『今日は中止にしましょう』と言ったんです。ギャラが出るという話だったんですけど、相方と相談して今日はもらわないでおこうと決めていたんです。それで『お疲れ様です』と言って帰ろうとしたら、主催者の方が本当に真面目な方で、『これ、少ないですけど』とギャラを渡そうとしてくれたんです。『いや、いいです。大丈夫です』と断ったんですけど、『わざわざ事務所にオファーして出ていただいたので、これを渡さないとスジが通らないですから』と説得されて、仕方なく受け取ったんです。

 

薄い封筒を握りしめたまま、中野の駅まで相方と2人で帰ってたんですけど、本当にやりきれない気分でした。しばらく経ってから、相方に聞いたんですけど、彼はあの日のギャラでパンツを買ったらしいんです。なぜかというと『そのパンツをはくことによって、あの日の悲しさを忘れないようにするため』だそうです。お客さんゼロは芸歴15年で初めての体験だったので、何やってるんだろう俺たち、と思いましたね」