カルトな芸で知られる地下芸人 脳みそ夫がブレークした理由
元カルト芸人時代
脳みそ夫と言えば、もともとは「培養液に浸かった脳みそを相方にして漫才をする」というカルトな芸で知られる地下芸人だった。その発想力には定評があり、大喜利の達人として地下界隈では一目置かれていたが、テレビに出るようなチャンスをつかめずにいた。
「OL聖徳太子」で注目
そんな彼が一気に注目されるきっかけになったのが、「OL聖徳太子」というネタを作ったことだった。つけ髭を付けて帽子をかぶり、OL風の衣装を着た「OL聖徳太子」に扮して、聖徳太子にちなんだ言葉を交えながらOLの日常を描いていった。
彼はこれと並行して「アラサー武士」「ちびっこ石油王」などのネタも演じていた。いずれも、かけ離れた2つの要素を掛け合わせることで新しいキャラクターを作るという発想から生まれたネタだった。
これらのネタが注目されて、脳みそ夫は『ぐるナイ!おもしろ荘』『ウチのガヤがすみません!』『有田ジェネレーション』など数多くのバラエティ番組に出演するようになった。
日の光が当たらない地下お笑い界で育った彼の中には、実はもともとポップな感覚があった。しかし、地下ではとがった芸が評価される風潮があったため、自然にそういう方向に染まっていて、伸び悩んでいる時期が長かったのだ。
メジャーに通用する武器を作り上げ、若い女性に支持される
2014年にタイタンに所属したことをきっかけに、意識を改めて、多くの人に受け入れられるようなネタを考えるようになった。そこで生まれたのが「OL聖徳太子」をはじめとする一連のキャラコントだった。
これらのネタは若い女性を中心に爆発的な人気を博した。彼が演じるOL聖徳太子には、マスコットキャラクター的なかわいげがあったからだろう。元地下芸人がいつのまにか地上でスポットライトを浴びる立場になっていた。
彼には口をとがらせて「こんちわ~す」というギャグがあり、いくつかのギャグをたたみかける連続技も持っている。豊かな発想力を生かして、メジャーに通用する武器をいくつも作り上げている。
芸風を根底から覆し成功を収めた
地下で活動していた芸人が下積みを経て地上で花開くということ自体は、決して珍しいことではない。しかし、脳みそ夫のように、芸風を根底から覆してポップなキャラクターで成功を収めた芸人というのはあまりいない。そういう意味では、地下芸人らしくない器用さを持った秀才型の芸人だと言えるのかもしれない。