女王様芸人にしおかすみこ 介護芸人へ異例の転身で再び話題に

女王様芸人にしおかすみこ 介護芸人へ異例の転身で再び話題に

芸歴10年目で女王様キャラのピン芸で大ブレーク

にしおかすみこは2006~2008年頃にSMの女王様キャラのピン芸で大ブレークを果たした。強烈なキャラで目立っていたのでぽっと出の新人だと思われがちだが、実はその時点で芸歴10年を超える苦労人だった。

にしおかは大学生の頃に「芸能界に入ったら目立てるのではないか」と思い、軽い気持ちでお笑いライブの新人オーディションに参加して芸人デビューを果たした。当時は女性芸人も少なかったため、女性であるというだけでお笑い界ではそれなりに注目された。

ネタがじわじわと評判を呼び、数多くのテレビ番組に呼ばれるが…

最初に所属した太田プロダクションでは有吉弘行劇団ひとりと同期だった。しかし、彼らと違ってにしおかはなかなかチャンスをつかめなかった。もともと特にお笑い好きというわけでもなかった彼女は、自分の芸と胸を張って言えるものを確立することができず、ワタナベエンターテインメントに移籍してからは、さまざまなキャラを手当たり次第に試していた。

その中の1つに女王様キャラのネタがあった。黒のボンデージ衣装に身を包み、ムチを振り回して自虐的な内容の漫談を披露する。もともと小心者で内気な性格だったにしおかが、開き直って女王様キャラを演じるのが面白かった。

このネタがじわじわと評判を呼び、にしおかは数多くのテレビ番組に呼ばれるようになった。ネタでは強気なキャラを演じているが、バラエティ番組では素顔を覗かせることが多かった。フジテレビの特番で明石家さんまに詰め寄られ、上手く答えられずに泣き出してしまったこともあった。

当時は『エンタの神様』が人気を博していて、そこから数多くのキャラの濃い芸人が輩出されてきた。にしおかもその1人だった。しかし、ブームがピークを過ぎると、彼女の女王様キャラも少しずつ飽きられていき、テレビ出演の機会が減っていった。

女王様芸人から介護芸人へ

そんなにしおかが、再び話題になったのが2021年9月のこと。ウェブマガジン『FRaU』で家族との生活を書く連載コラムが始まったのだ。彼女はずっと東京で一人暮らしをしていたのだが、久しぶりに千葉の実家に帰ると、家の中がゴミと砂まみれになっていた。母親が認知症になっているのが原因だった。

同居する父は重度の酒好きで、姉はダウン症を抱えている。さらに自分は「一発屋芸人」であるということで、にしおかは自分を含む家族のことを愛情を込めて「ポンコツ一家」と呼んでいる。にしおかは家族と暮らすことを決めて、現在も家事を取り仕切り、母親の世話をしているのだという。連載コラムでは、そんな家族との共同生活のことを赤裸々につづっている。

日本は超高齢社会を迎え、親の介護は多くの人にとって切実な問題となっている。だからこそ、コミカルなタッチでその問題を書いたにしおかのコラムが話題になったのだろう。女王様芸人から介護芸人に異例の転身を果たした彼女は、これからもさまざまな形で笑いを振りまいてくれるはずだ。

お笑いTVで、にしおかすみこの関連動画を観る。