ニッチェ 進路相談のアドバイスで女優の道からお笑いの道へ
女優志望から転身した演技派女性コンビ
ここ数年のお笑い界では、女性芸人の活躍が目覚ましい。毎年のように売れっ子が続々と出てきている。そんな女性芸人ブームの初期に世に出てきたのが女性コンビのニッチェである。
ニッチェというコンビ名は2人が出会った場所である「日本映画学校」から付けられている。島根県出身の江上敬子、三重県出身の近藤くみこは、共に女優を目指して上京。神奈川県にあるその学校で運命の出会いを果たした。
学校の授業で漫才をやることになり、2人は即席でコンビを組んでネタを披露した。すると、それが面白いと評判になり、そのままコンビとしてお笑いライブのステージにも立つことになった。
進路相談のアドバイスから芸人の道へ
卒業前の進路相談では、先生から「女優で20年後に芽が出るのと、芸人で10年後に芽が出るのとどっちがいいんだ?」と言われ、芸人になることを強く勧められた。近藤は比較的すぐにそれを受け入れたが、江上は女優への憧れが強かったため納得することができず、その後もしばらくは泣き言を言い続けていたという。
卒業後はしばらく極貧生活が続いた。ネタ作りの時間を確保するためにバイトもあまりしていなかった2人は常にお金に困っていた。タダ酒、タダ飯にありつくために金持ちの男性と仲良くなり、合コンをセッティングしたり、幹事になって盛り上げたりもした。自分たちを応援してくれる人を見つけて、おごってもらうことで、何とか食費を浮かせていた。
『新しい波16』でチャンスをつかむ
2人は、持ち前の高い演技力を生かしたコントで評判を呼んだ。着実に成長を続け、デビューしてすぐに頭角を現した。そして、若手の登竜門的な番組だった『新しい波16』に出演するチャンスをつかんだ。
ところが、ここで悲劇が起こった。収録前の練習中に江上がヒザの関節を外してしまい、そのまま病院に運ばれ、収録が流れてしまったのだ。必死でもぎ取ったチャンスを不意にしてしまったことで、2人は深く落ち込んだ。
ただ、才能を認められていたニッチェには、同じ番組にもう一度出演するチャンスが与えられた。彼女たちはそれをものにして、後継番組の『ふくらむスクラム!!』にレギュラー出演するようになった。
そのあたりから、少しずつテレビのネタ番組にも出るようになっていった。2011年には『お笑いハーベスト大賞』『NHK新人演芸大賞』を受賞して、その実力が業界内でも認められた。
明るさと人柄の良さで人気者に
初めのうちは、江上の小さくて横幅の広い体型ばかりが目立っていたが、キャリアを重ねるにつれて江上に追いつけ追い越せとばかりに近藤もグングン成長。いつのまにか江上に負けないほどの立派なボディになった。「昔はニッチェの『痩せてる方』と『太ってる方』だったのに、今は『太ってる方』と『もっと太ってる方』になっている」と自分たちでもネタにしているほどだ。
現在では2人とも結婚していて、公私ともに順調な様子。屈託のない明るさと人柄の良さがあり、コンビ仲も良好な彼女たちは、これからも活躍の場を広げていくだろう。
