幅広い分野での活躍中の作家型芸人バカリズム。その魅力を徹底調査!

幅広い分野での活躍中の作家型芸人バカリズム。その魅力を徹底調査!

●R-1グランプリ2022の新たな審査員に。孤高の作家型カリスマ芸人

ピン芸日本一を決める大会『R-1グランプリ2022』で、バカリズムが新たに審査員に加わったのはお笑い界を揺るがす1つの「事件」だった。ネタの面白さに定評があり、『R-1』で何度も決勝に進んだ経験のあるバカリズムは、芸人としてもテレビタレントとしても文句なしの実績と知名度があり、多くの芸人からリスペクトされている存在だ。彼が審査員になったことで『R-1』という大会の権威はさらに高まった。

『R-1』に出場していたおいでやす小田も、自身のツイッターで興奮気味に「これは大きい!!!/よくぞバカリズムさんを口説き落とした!!/R-1すごい!/勝手にあり得ないと思っていた!!/間違いなく大幅に一歩前進!!!/歴史的な前進!/これだけで必見!!!」と書き込み、喜びをあらわにしていた。芸人にとって「あのバカリズムが審査をする」というのは、それだけの重みのあることなのだ。

●知的でナンセンスなネタを量産するネタ

バカリズムはもともと「バカリズム」というコンビとして活動していたが、ネタの基本的なテイストはコンビ時代からあまり変わっていない。コンビの頃にも、ラジオ体操のリズムに合わせて挫折した体験を動きで表現する「ラジオ挫折」など、知的でナンセンスなネタを量産していた。ピン芸人になってからは、もともとあった独特の言語感覚や演技力にさらに磨きがかかり、斬新な形のネタを作り続けている。

バカリズムというと一般的には、「トツギーノ」という謎のフレーズを繰り返すネタや、都道府県をどうやって持つかを解説するネタなど、フリップを用いたピン芸を得意としている印象が強いかもしれない。だが、実際にはフリップを使わないストーリー性のある1人コントの方がレパートリーとしては多く、単独ライブでは主にそういうタイプのネタを演じている。

特異な状況に陥った人間の微妙な心理の変化を描いたコントや、理詰めで議論を進めて相手を追い込んでいくコントなどには、日常にあるささいな違和感も見逃さないバカリズムならではの感性が光っている。


●お笑いの世界で培ってきた能力を武器に脚本家としても活躍

そんなバカリズムは、2014年に『素敵な選TAXI』で連続ドラマの脚本を初めて担当して以来、数多くのドラマや映画の脚本を手がけてきた。原作・脚本・主演を務めた映画『架空OL日記』では第36回向田邦子賞を受賞した。いまや芸人としてだけでなく、脚本家としても映画・テレビ界で欠かせない存在になりつつある。

ビートたけし(北野武)、又吉直樹をはじめとして、お笑い以外の分野でクリエイターとしての才能を発揮する「作家型芸人」は年々増えている。その中でもバカリズムの活躍ぶりには目覚ましいものがある。

多くの小説家や脚本家が「人を笑わせることが一番難しい」と言っている。どんなジャンルの物語を作る際にも、コメディの素養を持っていることは大きな武器になる。バカリズムが脚本家として評価されているのも、お笑いの世界で培ってきた能力をうまく生かして、独自の世界を作ることに成功しているからだ。今後も幅広い分野での活躍が期待できそうだ。

お笑いTVで、バカリズムの関連動画を観る。