お笑い芸人になるには? 実際の仕事内容や芸人として必要な能力とは?

お笑い芸人になるには? 実際の仕事内容や芸人として必要な能力とは?

お笑い芸人はどのような仕事をしている?

お笑い芸人とは、漫才やコントなど「お笑い」として分類される演芸を行うエンターテイナーのことを指します。ライブやテレビ番組などでネタを披露し、「観客を笑わせること」をなりわいにしています。

また、テレビ番組などで見かけるように、バラエティ番組でトークを行なったり、旅番組でロケに参加するなど、近年はタレント的な側面も併せ持つようになってきています。お笑い芸人の多くは、各事務所が主催している事務所ライブでネタを見せることで研鑽を積みながら、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの賞レースで好成績を獲得し、知名度を上げるを目標にしていくことになります。

芸能事務所に所属し、出演した番組や舞台に応じたギャラを受け取るというのが、お笑い芸人の一般的な給与体系です。漫才であればコンビやトリオ、ピン芸人であればひとりなど、活動の仕方がは人それぞれと言えます。

お笑い芸人になるための一般的な流れ

テレビで見かけない日はないものの、「一体どうやってなるんだろう?」と思わずにはいられない職業の最たるものがお笑い芸人でしょう。求人はありませんし、普通の学校でなり方を教えてくれたりもしません。ここでは、お笑い芸人になるためにはどうすればいいのかについて、いくつかのパターンを紹介していきたいと思います。

養成所に入る

お笑い芸人を多く抱えている芸能事務所は、若手芸人を育成するための「養成所」を運営しています。吉本総合芸能学院、いわゆるNSCが有名ですね。養成所では、第一線で活躍していたお笑い芸人たちが講師として教壇に立ち、お笑いを基礎からレクチャーしています。

また、同じ夢を持つ同期生が一堂に会するため、養成所でコンビを見付けるというお笑い芸人も多いです。「お笑い芸人になりたい」と思ったら、まずは養成所に入るのが最も近道と言えるでしょう。

事務所に入る

養成所は、あくまでも「育てるための場所」であり、成績が芳しくなければ事務所に所属できない場合もあります。反対に、養成所を経ずとも芸能事務所に所属することができます。

芸能事務所のほとんどは、お笑い芸人を発掘するためのオーディションを行なっています。そこで審査員の目に留まれば、事務所と契約し、晴れてお笑い芸人になれます。

養成所と芸能事務所の関係は、教習所と試験場の関係に似ていると言えます。自信と実力があれば、教習所に通わずに試験場で一発合格を狙うこともできるでしょう。

大学のお笑いサークルに入る

養成所ではなく、大学のお笑いサークルでお笑い芸人としてのキャリアを始めることも可能です。実際、サークル出身のお笑い芸人は増えつつあります。養成所と同じように、サークル内で相方を見付けることもできるでしょう。

また、大学のお笑いサークルのレベルは飛躍的に向上していて、『大学生M-1グランプリ』はプロ顔負けの面白さになっています。ここでの活躍が関係者の耳に入れば、事務所と契約できる可能性も出てきます。

YouTubeで活動する

お笑い芸人は資格職ではないため、「事務所に所属する」という一点を除けば、誰でもお笑い芸人を名乗れます。そのため、事務所に所属しないフリーの芸人として活動してしまうのも、ひとつの手です。

駆け出しのお笑い芸人の主な活動場所は所属事務所のライブになりますが、知名度のないフリーの芸人の場合でも、野外ライブやYoutubeなどで露出の機会を得ることができます。ネットで「面白い」と話題なれば、やはり事務所から声が掛かることもありますし、事務所に所属せずともテレビ番組や舞台に出演することは可能です。

お笑い芸人を目指すために必要なもの

お笑い芸人になるためには「面白さ」さえあればいいと思われるかも知れませんが、ほとんどのお笑い芸人は事務所から給与をもらっている給与労働者で、立派な社会人です。面白さだけではどうにもならない局面が多々あります。ここでは、「お笑い芸人になりたい!」と考えている方のために、お笑い芸人を目指すために必要なものを紹介していきます。

常識がある

意外かも知れませんが、テレビではエキセントリックなお笑い芸人でも、打ち合わせの席では誰よりも礼儀正しく振る舞ったりしています。よほど大御所になれば話は別ですが、テレビ番組のプロデューサーやスポンサーは、態度や素行の悪い人物の起用を嫌がります。

入り時間を守らなかったり、他人への態度があまりにも悪ければ、どんなに面白いネタをできても、回ってくる仕事は徐々に減ってしまいます。エンターテイナーといえども、他の職業と同様に、一般的な常識は身に付けておく必要があります。

物怖じしない

「本番に弱い」という言葉があるように、顔見知りが多い事務所ライブでは緊張しないのに、テレビカメラが入るオーディションでは途端に緊張してネタを飛ばしてしまうというお笑い芸人は少なくありません。また、ネタはできても、フリートークでは何を喋っていいか分からず、アピールポイントを逃してしまうという場合もあります。

お笑いの世界は人気商売です。どれだけ注目されるかが、チャンスを勝ち取れるか否かに直結します。そのためには、何事にも物怖じしない態度が求められます。緊張しやすい人は、何度も何度も人前でネタを行い、少しずつ場慣れしていくことを心がけましょう。

積極性がある

お笑い芸人は、トーク力や画としての魅力が見込まれるため、サービスや企業のタイアップに起用されます。その際、知名度はそこまで高くはないものの、その分野に精通しているお笑い芸人が呼ばれるということも少なくありません。

『アメトーーク!』で言うところの◯◯芸人のように、何かに秀でている芸人は、それだけでチャンスが回ってくる可能性が高いと言えます。

そして、そのチャンスをものにするためには、日頃から「自分は◯◯に詳しい」と積極的にアピールしておく必要があります。SNSへの投稿、ネタに反映する、マネージャーにアピールする、手段はいくらでもあります。こういった積極性も、お笑い芸人として地位を確立するために必要な要素のひとつです。

応援してくれる人がいる

とはいえ、お笑い芸人として売れるためには「運」も必要になってきます。『M-1グランプリ』を見ていても、「こんなに面白いのに、どうして今まで売れていなかったの?」と不思議に思われることがあるはずです。芸歴数年で売れるお笑い芸人は稀で、ほとんどの場合は、仕事も少なく給与も少ない下積みの時期を経て、知名度を獲得していくのです。その過程で、少しずつ心がすり減っていきます。

自分自身の結婚や、同級生の結婚や出産、あるいは両親の介護など、夢を追いかけることが難しい状況に直面し、お笑い芸人を辞めなくてはならない日が来ることもあります。そんな時、応援してくれる人がいるかどうかで、心の辛さはガラッと変わります。「お笑い芸人になりたい!」と打ち明けた時、心の底から応援してくれる人が周囲にひとりでもいれば、夢を追い続けることは難しくないかも知れません。

実家が太い

こればかりは後からどうしようもできないことですが、実家から金銭的な援助を受けられることは、お笑い芸人を続けるうえで最強の後ろ盾と言えます。オーディションに出るためにシフトを入れられず、バイトを辞めざるを得なかったり、家賃が払えずに数人で集まって生活するなど、お笑い芸人によくある苦境を経験することなく、心穏やかにお笑いのことだけを考えられます。

学歴や資格は必要?

お笑い芸人は資格職ではありません。そのため、学歴や資格は不問です。理論上は、誰でも目指せますし、なれます。ただし、近年は大卒のお笑い芸人が増えていることも心に留めておきましょう。

これには、大学での様々な経験がお笑いのネタ作りに反映できるという側面もありますし、もしお笑い芸人として売れなかった場合、大卒であれば一般企業に戻ることも難しくはないという安全策も含まれています。「お笑い芸人になりたいから学校を止めようと思っている」という方がいれば、こうした側面も考慮した方がいいでしょう。

お笑い芸人になるために今からできること

ここまで、お笑い芸人になるための流れをご紹介してきました。もちろん、あくまでも一例に過ぎず、様々なバリエーションでお笑い芸人になった方がいらっしゃいます。100人いれば100通りの、お笑い芸人としての人生があります。

しかしながら、いきなり養成所やオーディションはハードルが高く、「お笑い芸人には興味があるけど、やっぱり自分には無理かも知れない」と思ってしまう方もいるかもしれません。そこで、ここからは無理なく実践できる「お笑い芸人になるために今からできること」について考えていきたいと思います。

ライブを見に行く

お笑いは好きでも、ネタ自体はテレビやYouTubeでしか見たことがないという人は多いでしょう。芸能事務所が主催する「事務所ライブ」には、テレビ番組とは違った独特の空気感があります。

また、事務所ライブ自体も、人気や実力のある芸人が参加するものから、新人だけを集めたライブなど細分化しています。新人芸人のライブを見れば、ネタの完成度はどのくらいのものが要求されるのか、どのくらい緊張するものなのか、などが肌感で理解できます。

養成所に行くのは怖いという人は、ファーストステップとして事務所ライブを見に行きましょう。夢のスタートラインに立ち、試行錯誤しているお笑い芸人たちを見ることで、きっと良い刺激を受けるはずです。

相方はネットで探せる

「お笑い芸人になりたいけど、一緒にやってくれる人がいない」という人もいるでしょう。養成所でコンビを結成するという話は多いですが、養成所に行っていない人はどうすればいいのでしょうか。

答えは簡単で、今はネットで探すことができます。
グレープカンパニーに所属している「東京ホテイソン」のふたりは、ネット上の相方募集掲示板で出会い、意気投合してコンビを結成しました。

今では、『M-1グランプリ』で決勝に進出するほどの実力を誇っています。テクノロジーが進化し、お笑いの世界にも新しいやり方が登場しつつあります。TikTokやYouTubeでネタを披露してファンを増やすことができますし、SNSや掲示板で相方を探すこともできます。

まとめ

お笑い芸人には無数のなり方があります。「どうやってお笑いの道に入ったのか?」自体が、その芸人の面白さや人となりを象徴するエピソードにもなり得ます。この記事では一例をご紹介しましたが、それを踏まえたうえで、自分なりのお笑い人生を歩んでいただけたら幸いです。

お笑いTVで芸人のネタをみて勉強する