お見送り芸人しんいち『R-1』2022優勝決定瞬間の涙の理由
悲願のR-1グランプリ2022優勝までの苦労
お見送り芸人しんいちは『R-1グランプリ2022』で優勝して、ピン芸人の頂点に立った。
しかし、彼がここにたどり着くまでにはさまざまな苦労があった。
大学卒業後の2009年に松竹芸能に所属してお笑いコンビとして活動を始めたが、わずか2年で解散してしまい、ピン芸人としての活動を余儀なくされた。
昔ながらの破天荒な芸人の生き様に憧れて、自宅を持たず、ギター片手に女友達や彼女の家を渡り歩いて、根なし草のような生活を続けていたこともあった。
所属事務所の先輩である『サンドウィッチマン』に支えられ今の芸風に
芸人として活動していなかった2年半の時期を経て、今の事務所に入って活動を再開した。
ライブでも思うように笑いを取ることができず、苦悩していた彼に目をかけてくれたのが、事務所の先輩のサンドウィッチマンの2人だった。
伊達みきおは食事をごちそうしたり、お年玉をあげたり、何かと世話を焼いていた。
「お見送り芸人しんいち」という芸名を授けてくれたのも伊達である。
富澤たけしは「歌が得意なら歌ネタをやった方がいい」とネタ作りのアドバイスをしてくれた。
そこから試行錯誤を重ねて、ギター弾き語りの今の芸風にたどり着いた。
『R-1』出場ラストイヤーで披露した皮肉な歌ネタとは?
『R-1グランプリ2022』の決勝1本目のネタでは「僕の好きなもの」という歌を熱唱した。
好きなものを次々に挙げていくという内容なのだが、「しつけしすぎて面白みなくなった犬、好き」「顔出したらファンが減った声優さん、好き」「正月番組、若いお客さんの前でスベってる師匠漫才師、好き」などと、明らかに皮肉っぽい目線が含まれていた。
2本目のネタでは「応援するよ」という歌を歌った。
これも基本的には1本目と同じような意地悪な目線で「フリスビー買って一投目で屋根に乗っけた子供」「法事で集まって浮いてる親戚」など、彼が応援するものを挙げていった。
意地悪な目線を「好き」という一見ポジティブなパッケージにくるむことで、万人ウケするネタに仕上げていた。
たくさんの出会いに恵まれ、見事掴み取った『R-1』王者
『R-1』決勝の舞台で最終結果が発表された瞬間、お見送り芸人しんいちは感極まって顔を押さえ、その場に座り込んだ。「ああっ!」と何度も嗚咽を漏らしていた。
彼の頭によぎったのは、サンドウィッチマンをはじめとして、彼をこれまで支えてくれた人たちのことだった。
今後も「優しい笑い」が求められる時代の空気に逆らって、毒気たっぷりのネタを作り続けていってもらいたい。
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