泥臭さが売り!? 「フリーライター育成」に特化したライタースクールが注目を集める理由

泥臭さが売り!? 「フリーライター育成」に特化したライタースクールが注目を集める理由

副業解禁にフリーランスと、「働き方改革」がいっそうの盛り上がりを見せている。同時にエンジニアやライティングなど、副業化・独立しやすいスキル習得を目的としたスクールの需要も高まりつつある。そんな中、”フリーライター育成特化”を掲げる異色のライタースクールがじわじわと注目を集めている。昨年10月に開講し、4月に第2期を迎える「月吠えライタースクール」だ。

特徴は、未経験からフリーライターとして活躍するための方法論に特化していることだ。文章力や企画力などという基本スキルだけではなく、SEOの知識、取材交渉のやり方、果ては確定申告の知識まで、実践的な知識を半年間で身につけられる構成になっている。ライターとして独立したい方はもちろん、副業・復職としてライターをしたい方まで対象は幅広い。

また、オンライン講座に力を入れているのも同校の強みだ。首都圏に比べチャンスを掴みづらい地方でもフリーライターを目指す人が増えてほしいという思いから、新宿で開催される講義の映像をすべて字幕付きで配信するサービスも提供している。加えて、様々な理由で外に出ることが難しい方も対象にしていると言う。

「月吠えライタースクール」の発起人はルポルタージュなどを専門とするジャーナリストの肥沼和之氏。スクールの講師を務めながら、常連客から「月吠え」の愛称で親しまれる、新宿は歌舞伎町・ゴールデン街の「プチ文壇バー 月に吠える」のマスターという顔も持つ。

「若手のライターや編集者が気軽に集まれる場所を」という思いから未経験でバーのマスターを始め、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』という指南本も出版。数年前から単発でフリーライターになるための方法論を教える会を開催していたところ、多くの反響を受けたため、昨年10月ライタースクールの開講に踏みきったと言う。

文章力だけでなく、取材交渉や経理の知識までを講義内容に取り入れたのには、昨今の「フリーライター」を取り巻く環境に懸念があったからだ。「ライターは自分の興味が仕事に直結しやすいぶん、“やりがい搾取”とも呼べるような安い単価で仕事を引き受けがち。とくに未経験からフリーライターになると、ライティング以外の知識が乏しいせいで、しなくてもいい苦労をしてしまう方が多い」と肥沼氏は語る。

4月開始の第2期では、これまで肥沼氏が担当していた「未経験・初級者向け ライター基礎コース」に加え、お笑いについての記事や単著を執筆しているラリー遠田氏の「専門特化型ライターで稼ぐ技術」、女性ならではの観点が光るコラムで人気の河崎環氏の「実戦WOMANウェブライティングコース」の2コースを併設し、独自の知識を活かしたライティングや副業を検討する主婦や再就職といった、より細やかなニーズへの対応を狙う。両氏とも現役で活躍するフリーライターという点にも、同校の「フリーライター」への思い入れがうかがえる。

第1期では北海道や東北などの地方からも受講の申し込みがあったようで、フリーライターという働き方に対する注目度は高さがうかがえる。現在は公式ホームページのプラットフォーム化を進めており、サイト上での講義視聴や課題提出が可能になる(※2020年3月中旬開始予定)。新型感染症の影響でイベントや講座の自粛が相次ぐ中、「ぜひオンライン講座を活用していただきたい」と述べる。

第2期を迎え、「より多くのフリーライターを目指す人に、より質の高い講義を届けたい」と語る「月吠えライタースクール」。参入障壁は低くとも生計を立てることは難しいと言われるフリーライター業界で活躍できる人を増やしていきたいと意気込む。「やりたいことを仕事に」「副業で簡単に収入アップ」−−とかく甘い言葉が飛び交いがちなフリーランス界だが、そう簡単にはいかないと肥沼氏はとらえている。そのため、月吠えライタースクールの講義内容は現実的でかなり“泥臭い”ものだ。だからこそ、“誰でもできる再現性”があるのだと肥沼氏は強調する。「もともと私自身が、経験もコネも無い状態でフリーライターの世界に飛び込みました。特別な才能があったわけでも無いですが、試行錯誤を続けて今のキャリアを築きました。講義では、その”試行錯誤”の部分を余すところなくお伝えしています」

公式ホームページは現在トップページのみ先行公開中。3月中旬よりホームページ上から受講申し込みが行えるようになるが、それまではメール(writerschool@moonbark.net)で受付が行われている。地方在住のオンラインのみの受講者や、早期に申し込みした方向けのキャンペーンも実施するという。詳細は月吠えライタースクールの公式Twitterアカウントを確認してほしい。