走る理由がある人はいない

走る理由がある人はいない

毎年恒例の『24時間テレビ』のマラソン企画で、今回はランナーが当日発表されることになっていました。そして、ブルゾンちえみさんがランナーに選ばれました。

 

ランナーを選ぶ基準について、番組側からは事前に「走る理由がある人」という告知をしていました。このワンフレーズが、実にテレビっぽいなあ、と思ったことを覚えています。

 

そもそも、理屈で考えると、『24時間テレビ』で走る理由がある人なんているわけがないんです。走る理由なんて誰にもないわけですから。『24時間テレビ』でなぜ毎回誰かがマラソンを走らないといけないのか、きちんと考えたことがある人はあんまりいないんじゃないでしょうか。

 

「走る理由」なんて、本当は何もない。でも、だからこそ、「走る理由がある人」と言われると、その条件には誰でも該当するような気がしてくるわけです。それが結果的に、ランナーに選ばれるのは誰なのかに興味を持たせることにつながっていると思います。だから、そこはうまいなあ、という印象を受けました。

 

当日、番組が始まってからも、ランナーはなかなか発表されず、「引っ張りすぎだ」という批判もネットでは多く出ていたようです。でも、それはまあ、引っ張りますよね。「引っ張りすぎだ」と言いたくなるくらい興味を持って番組を見てくれている人がいるなら、それはもう企画として成功しているということを意味しているわけですし。

 

「マラソンランナーの当日発表は賛否両論」という話もありますが、実際のところ、「賛否両論=大成功」っていうことですからね。賛成とか反対とかそもそも興味ないとか、いろいろな意見が出てきて話題になること自体が、企画としてはうまくいっていることを表していると思います。

 

そして、ネット上を見ていると、当日発表というシステムやマラソン企画自体には否定的な人でも、ブルゾンちえみさんご本人には好意的な人が圧倒的に多くて、改めてブルゾンさんの好感度の高さを思い知らされますね。この空気の中でランナーに選ばれてみんなに「がんばって」と思ってもらえる人という意味では、やはりブルゾンさんか、あるいはみやぞんさんぐらいしかいなかったんじゃないかな、と思います。

 

なんで走るのかよくわからないけど、毎年恒例だし、何となく盛り上がっている感じがするから毎年走る、っていうのが、テレビ的だなあという感じがして、私は好きです。