『M-1グランプリ』で審査員が悩んだ理由

『M-1グランプリ』で審査員が悩んだ理由

もう1週間も前の話になりますが、『M-1グランプリ2016』が終わりましたね。大方の予想通り、昨年準優勝で今年は優勝候補の筆頭だった銀シャリが、順当に優勝を果たす形になりました。ただ、最終決戦に進んだ上位3組は全員が全員、圧倒的に面白く、甲乙つけがたいものがありました。見ている人の中でも、この3組の誰が良かったかは好みが分かれるところだったのではないでしょうか。

 

スーパーマラドーナは、ひとつの設定でテンポ良く何度もボケを重ねていく王道の漫才。ボケの田中さんに対して強烈なツッコミをいれた後、武智さんが「痛くないように叩いてるんですよ」と客席に向かってフォローを入れたところにも技を感じました。

 

和牛は、花火を見に行く男女を演じる漫才コント。水田さんが演じる男性のキャラクターが不気味で、突拍子もない予測不能のボケを繰り出すところが見どころです。川西さんの落ち着いたツッコミもすばらしく、隙のないネタ運びでした。

 

それに対して、銀シャリが演じたのは2人の言葉のやりとりだけで展開する正統派の漫才。ネタの基本的な枠組みがシンプルで、鰻さんがボケらしいボケを言うくだりは実はそれほど多くありません。ただ、橋本さんのツッコミの力によって鰻さんのとぼけたキャラクターを引き立たせて、そこで笑いを生み出すことができる。ネタの素材そのものよりも、ひたすらしゃべりの技術を洗練させることで面白い漫才を作っている、というところにストイックなこだわりが見えました。

 

そんな3組の漫才には、優劣をつけるような差はほとんどなかったように見えました。審査員の方々は一様に首をひねり、難しい顔をして悩んでいましたが、無理もありません。『M-1』では、このように審査員が審査に悩む場面がしばしば見受けられますが、ここまで全員が全員、悩みまくっている感じが出ていたのは初めてかもしれません。ファーストステージの点数をつける審査では、同じ点数をつけてお茶をにごすこともできますが、最終決戦では必ずどれか1組を選ばなければいけない。しかも、審査員の人数が従来の7人から5人になったことで、1人あたりの責任はさらに重くなっているのです。『M-1』は審査員にとっても厳しい戦いだったわけです。

 

ちなみに、オモプラッタ編集部としては、今回の『M-1』で一番推したい芸人はカミナリです。

 

初の決勝進出を果たしたダークホース。

 

このサイト内にも彼らのネタ動画があるので、ぜひ見てみてください。