クールポコ。空前のネタブームの中から生まれた独自の「餅つきネタ」が再評価
餅つきネタで当てた一発屋の誇り
ゼロ年代後半(2005~2009年)には、お笑い界が空前の盛り上がりを見せていた。その中心になったのは『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』といったネタ番組である。これらの番組がすさまじい人気を博したことにより、そこからスターになる者が多数出現した。毎週のように新しい芸人が出てきて、注目を集めるようになった。
そんな空前のネタブームの中から生まれた数多くの売れっ子芸人のうちの1組が、せんちゃんと小野まじめの2人から成るクールポコ。である。彼らは独自の「餅つきネタ」を発明したことで、お笑いの歴史に名を残す存在となった。
餅つきネタで一世を風靡
彼らは舞台上に杵と臼を持ち込み、餅つきをする構えをしている。小野が「どんな男がいるんだ?」と問いかけると、せんちゃんが「格好つけて玄関におしゃれな間接照明をつけている男がいたんですよ」と返す。それに対して小野が大げさに驚いて「なぁにぃ~! やっちまったなっ!」と叫んで、杵を振り上げる。せんちゃんが「男は黙って」と声をかけると、小野が「たいまつ」と返す。このやり取りの間、小野は杵をつき、せんちゃんは臼に手を差し入れて餅をこねる動作をする。それから、この形を何度か繰り返していく。
2人は、はちまきをつけていて、小野は上半身裸である。胸毛を丸出しにしていて、男臭い風貌の小野が、真の男らしさとは何なのかを訴えるというのが、ネタのコンセプトになっている。
このネタブームの時代に世に出てきた芸人の多くは、その後、人気を維持できなくなり、数年後に「一発屋」と呼ばれるようになってしまった。クールポコ。もその1組だった。1つのネタ、1つのキャラクターにこだわり続けた彼らは、それが世間に飽きられてしまった後で、窮地に陥ることになった。
かつての芸が再評価される
しかし、最近になって、そんな彼らにも追い風が吹いている。時代が一周回ったことで、かつて一発屋と呼ばれていた人たちが再評価されるようになり、CMなどに出演するようになった。「元祖一発屋芸人」とも言えるダンディ坂野からこの流れが始まり、クールポコ。もその後に続いた。さらに、バラエティ番組などでもたまに彼らの姿を見かけるようになってきた。
一発屋というと聞こえは悪いが、芸人たちの間では「一発当てられただけでもすごい」とリスペクトされる存在である。餅つきネタで堂々と一発の大きな花火を打ち上げた彼らは、今でもその輝きを失ってはいない。