竹下通りの黒人に死刑宣告された芸人

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今回お話を伺ったのは、サンミュージック所属のお笑いコンビ「第2PK」のひろみさん。若かりし頃におっかなびっくりで竹下通りを歩いたことがある、かつてはいたいけな少年だった一部の読者は、きっと、ひろみさんと似たような経験をしたことがある筈だ。優しそうな黒人のキャッチが獣に変わる瞬間とは………!?

ーーー竹下通りの黒人に死刑宣告をされたことがあるそうですね?

 

僕が20歳の頃の話なのですが、お兄ちゃんからおさがりで貰った「エイプ」っていうゴリラのマークが入っているブランドの洋服を着てまして、その時は、ゴリラの絵がバンッと前面に描いてあるTシャツを着て竹下通りを歩いていたんです。

 

そしたら、竹下通りをちょうど半分ぐらい行ったところで、黒人のキャッチみたいなひとたちに声を掛けられたんですよ。黒人の方たちは「エイプとかを着てる人に声を掛ける」っていうのは結構有名な話らしいんですけども、僕は全然知らなくて、「声かけられたなあ」と思って「すいません」って逃げるのもあれだったんで、お店まで付いて行ったんですよ。けど、お店には誰も人いなくて、なのに、どんどん奥に連れてかれて、店内の服とかは何見ても全部何万円とか結構高くて、僕は逃げるようにして、「あの、すいません………じゃあ、チラシだけ貰って行きますわ」って言ってお店を出たんです。その日は、それからも特に何もなく「怖かったなあ」と思いながら帰りました。

それで、その1年後にまた同じ服を着て竹下通りを歩いてたら、黒人の方にまた声を掛けられまして、「ああ、まただ」と思って、でも、2回目だったんで怯えることもなく、しっかりと目を見て喋ってたら、僕、あることに気付いたんです。

 

あれ、この人、1年前に声かけてきた黒人の方だ!」と思って、「あ!あのさ、1年前にも声掛けたよね?俺に。覚えてない?」って言ったら、めちゃくちゃ流暢な日本語で、「知らねえよ。覚えてねえよ。殺すぞ!」って言われて。それで、もう「あ、すいません」って、お店に連れて行かれることもなく、あっち行けって追い払われて………

 

ーーーキャッチに「来るな」と言われた?
はい。
それで、その日はもうその辺に近付けなかったですね。

 

ーーー2回来たら困るんですかね?
どうだろう。
多分、びっくりしたんですかねえ。

 

それで、もう本当に「竹下通りをエイプで歩くのはやめよう」って思って、その服も後輩にあげちゃいましたね。めちゃめちゃ怖い思いをしたから。

 

ーーー「殺すぞ」ですもんね。それも屈強な黒人に言われるなんて。
結構ムキムキの黒人の方だったんで。

 

周りの黒人の方も、その光景を見て「何なら加勢するぞ」くらいの感じでこっちを睨んでたんで「これヤバいやつだ」って思いましたね。性能的に日本人では勝てない部分があるんで、そそくさと竹下通りを通り過ぎて。

 

ーーー生命の危機ですもんね。
そうですね。
そこから竹下通りには2年ぐらい行かなかったですね。怖かったんで。

 

ーーー普通に生きてたら、中々言われないですよね。

 

日本で商売されてる黒人の方って、結構笑顔で商売されてて、優しいっていうイメージがあるじゃないですか。初めて、真剣に「殺すぞ」って言ってる目を見て、衝撃が走りましたね。本当に死を覚悟しました。

 

ーーー怖かったですか?
めちゃくちゃ怖かったですね。

今後は知ってても、知ってるって言わずに、初対面のふりをします。

 

ーーーありがとうございました。