「ベッキーさんの不倫騒動、僕のせいだと思います」不幸すぎる芸人を襲う悲劇

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今回お話を伺ったのは、サンミュージック所属のお笑いコンビ「夕暮れランプ」の後藤さん。関わる人間を不幸にしてしまう体質であるという後藤さんの所属した事務所はことごとく潰れ、更には、相方も謎の消え方をしていくという。後藤さんが辿っている数奇な芸人人生を、共に振り返っていきたい。

―――後藤さんは「関わる人間を不幸にしてしまう」体質だそうで、具体的にお話を伺っていってもよろしいでしょか?

はい。僕と関わる人間は不幸になります。ほとんど。
まあ、僕自身も不幸になってるんですけどね………(苦笑)

―――ご自身が不幸に?

とにかく昔っから不幸で、と言っても最初はそんな大袈裟なものじゃなくて、よく階段から落ちたりとか、石とか何もないのに、道端でこけたりとか。そういうことが、小さい頃に続いたりしたんです。

―――子供の時からそのような不運なことが多かったんですね。

不運なことが多かったんです。

でも、母親からは「死んでないんだから運がいいじゃん」と言われてて、「あ、じゃあ、まだ運がいい方なのかな」と思ってましたね。

―――すげえポジティブなお母さんですね。

そうなんですよ。

それで、いざ、芸人始めてから上京してみると、その瞬間に不幸がどんどんレベルアップしてって、その中からの1つのエピソードを挙げると、僕と組んだ相方っていうのはみんな芸人辞めるんです。必ず。僕、コンビを6回くらい解散してるんですよ。

―――すいません、後藤さん今おいくつでいらっしゃいますか?

27歳です。
上京したのが18歳の時。

―――つまり、1年に1人ぐらいのペースで解散してきた?

そうですね。
そのくらいのペースで、コンビを組んでは解散してきましたね。

―――しかもこれ、「相方が芸人を辞める」っていうのは、(お互いの今後の為、のような)発展的な解散ではない訳ですよね?

詳しく話すと、最初、アマヤドリってコンビを組んでいまして、所属する事務所も決まったんですよ。それが代官山プロダクションっていう事務所で、代官山っていう名前だけど代々木にあるという謎の事務所がだったんですけども。

そこに所属して、「やっとプロ活動ができる!」ってなったんですけど、その1年後に事務所がつぶれたんですよ。経営破綻で。

それで、当時は僕ら専門学校に通っていたんですけど、2年制で、僕たちは1年目で事務所が決まったんですよ。なのに、1年目で事務所が潰れたので、他の同期はプロになったんですけど、僕らだけフリーになるっていうとんでもない状態。その瞬間に相方が、「もう、これじゃあ続けられないよ………」って言い出して。

―――フリーじゃ、ちょっと無理だと?

フリーは辛いからって、なんか「海外に留学する」って言って福島に帰って行ったんです。「え、どっちなのよそれ?」みたいに思ったんですけど、まあ、多分(芸人としての道は)潰れちゃったんでしょうね。

それでその後に、同じ代官山プロダクションって事務所にいた後輩と組んだんです。その時は、その後輩のコンビの中に僕が入り込んだ、みたいな感じでトリオを組んだんですけども、しばらくして、もう片方の子が行方不明になっちゃって。

―――今でも行方不明なんですか!?

多分今は見つかってると思うんです。

というのも、そいつの名前で検索したらフェイスブックやってました。だから、生きてはいるんだなって。でも、僕たちの前からは突然に行方不明になってしまったんです。

彼がいなくなるちょっと前なんですけど、尖閣ビデオが流出したんですよ。尖閣ビデオが流出したっていうニュース。覚えてますか?

―――はい。かなり話題になりましたね。

そいつの彼女の連絡先を知っていたので、僕は彼女に話を聞いてみたんですよ。そうしたら、どうやらそいつは漫画喫茶に寝泊まりしていたらしくて、その時期にちょうど尖閣のビデオが流出してたらしいんですけど、そのビデオが流出した漫画喫茶っていうのが、そいつの泊まっていた漫画喫茶だったんです。

だから、その事件の後に「あいつがやったんじゃないか」っていう噂が流れたりしましたね。まあこれは、当時の周りがそういう風にネタにしてただけなんで信憑性とかは全然ないんですけど、僕としてはもう、色々な不幸が起きてるんで、「もしかしたら」みたいに考えちゃいましたね。

その後は、ひとり抜けたから、必然的にコンビになって活動したんです。そこからまた事務所に入ることにしたんですけど、前の代官山プロダクションの会長が「新しく事務所作るから、お前ら入れよ!」ってなったんです。で、いざ入ったら、そこもマネージャーが全員辞めてしまって、事務所ごと潰れたんです。

―――そんなことがあるんですね。

あるんですよ。
一番びっくりしたのは僕ですからね………

マネージャーが「もう脱退する」ってなって、それでもう、僕の中で事務所に入ることが嫌になってしまって、「じゃあ、自分らで作ろうか」っていう話しになって、お笑い団体を作って、路上ライブとかで集客とかをやったんですよ。

だけども、あまりにも魅力っていうか、不幸のオーラが強すぎたのか、警察が来るんですよ。やっぱり、人集めすぎると。「そこでやっちゃダメだよ」みたいに、

―――路上ライブとかは禁止されている場所が多いですからね。

だから「ダメだよ」って注意しに来るんですけど、僕らがやってたら、「駅の近くで大喜利やってるホームレスがいるっていう通報が来たんだけど、もしかして君たち?」って警察のひとに言われたんです。「ああ、それは僕たちです」って、答えながらも。俺らは一体何だと思われてるんだってなりましたね………

―――大喜利なんかもやってた訳ですね?

そのお笑い団体の中には女の子も居たんですけど、すいません、これはちょっとダークな話になってしまうんですけど、俺が組んでた相方がその子を襲おうとしてたみたいなんですよ。強引に。その時は僕はその一件を知らなくて、女の子が脱退してから、こういうことがあっただと聞かされて「こんなんじゃ続けられない」ってなって、結局その団体は崩壊してしまいました。

また、なくなっちゃった。

そこからは知り合いのツテで、とある事務所を紹介して貰って、そこに行きました。CDの制作会社なんですけど、初めてもらった仕事が「全然売れていないアーティストのCDを100枚買え」っていう謎の仕事だったんです。

―――収入はどうだったんですか?

収入はないです(笑)むしろ、僕がお金払ってるんでマイナスです。

それで、まあ色々とやってたんですけども、結局CDは売れないんで、また経営破綻で潰れたんですよ。「もうどうしようもない」ってなりましたね。
僕の親戚のおじさんが「芸能界のパイプがある」って言っていて、結構色々な人と関わってるから「じゃあ、俺が事務所作るからお前そこに入れよ」って言ってくれて、それで、その新しい事務所に身を寄せました。

―――作ったんですね。

作ったんです。

今のコンビじゃないですけど、当時の僕のコンビと、世界2位の尺八の名人がいるっていう謎の事務所だったんです。

その世界2位の尺八の名人が、まあ一度も会ったことはないんですけど、なんか、すごく稼げる人なんです。それで「もう、フリーでやった方が稼げるから」って言って、事務所を辞めたんです。その瞬間に「尺八の名人がいないんなら続ける意味ねえ」って判断されて、そこも潰れたんです。

もう、これだけ(所属した)事務所が潰れて、更には養成所でも何回もコンビ解散したりとかしていて………

(養成所で解散した)そのコンビも、相方が途中でニコニコ生放送にはまりだして、「俺ニコニコ生主として生きていくわ!」って言われて解散したんです。相方がそういう風に消えるんですよ?ちなみにそいつは、今はもうお笑い活動も何もしてないです。

もう、どうしようかな」っていう時に今の相方と出会ったんです。こんなにどんどんどんどん解散していくんで、コンビを組むかどうか迷ったんですけど、その相方も、母親が6回くらい離婚しているんですよ。それを知って「これだけ不幸だったら、俺の不幸と混ざったらプラスなるんじゃないか」と思ったんです。「流石に、これ以上不幸になることはないだろう」と組んだんですよ。

それでもう、これからはちゃんとした事務所入ろうと思って、(今現在所属している)サンミュージックに入ったんですよ。オーディションを8個まわって。ここは大手だから絶対に潰れることはないだろうって安心しましたね。

ベッキーさんの不倫問題が起きたのが、ちょうど僕が入った時です。

ベッキーさんが潰れるっていうのは、(サンミュージックの)一番の稼ぎ頭が潰れちゃうっていうことなんで………

―――確か、去年の暮れでしたよね。

あれ、多分僕のせいだと思います。

―――いやいやいやいや。けど、もしかしたら、その可能性はあるかも知れませんね。

事務所が潰れないから、一番の稼ぎ頭を潰そうとしたんでしょうね。僕の不幸が。

あまりにも不幸なんで、厄払いに3回行ってるんですよ。

―――まだ27歳なのに………

前厄と後厄と本厄とかあったんで、全部厄払いいったんですけど、もう全部厄払ってもほぼ解決出来ない。それで、何が原因なのかと思って色々と調べたら、どうやら、僕の先祖は武将だったらしいんですよ。

―――武将?

人を殺しまくってて、その恨みが全部僕に引っ掛かってるらしいんですよ。これを解決する方法なんて、その人達のお墓、全部墓参りするくらいしかないですよね。

―――どこの誰かも分かりませんしね。

ただ、その僕の先祖っていうか、僕の守護霊は強いらしいんですよ。だから未だに、命まではどうにもなってない。首の皮一枚で繋がってる。だから、もう、そのまま守護霊に頑張ってもらうしかないなあと思ってますね。

それで、最近もまだ、不幸が続いているんです。

―――最近の不幸エピソード、是非ともお聞きしましょう。

サンミュージックには、ネタ見せを合格して出られる「プレGETライブ」っていう、若手のライブがあるんですけれども、その3回目に出て、(サンミュージックの)社員の人に合格を貰ったら「所属」になれるんです。もちろん、僕らもそうでした。

それで、後輩とかがやっぱり相談に来る訳ですね。「あの、サンミュージックに行きたいんですけど、大丈夫ですかね」みたいに。だから僕は「お前ら面白いから、大丈夫!」って言ってあげたんです。

社員の前でネタをやるのも、もう既に3回も勝ってるし、もうほぼ採るつもりでライブに出させているので、正直、ほとんど落ちることはないんです。そこで落ちた奴って、ちょっと問題起こした奴とか、失敗してしまったとかで、そういうのはほぼ落ちてしまう。

(相談を受けた)後輩も3回勝ち進んで、社員の前でネタ見せをやったんです。ほぼ落ちることないから大丈夫な筈だったんです。そうしたら落ちたんです、そいつらが。「後藤さん、ダメでした」って。「そんなことある。まあ大丈夫大丈夫、もっといい事務所あるから」って慰めるしかなかったですね。

また、他にもピン芸人が「僕サンミュージック入りたいんですけど」って相談してきたことがあって「あ、お前は面白いから絶対に大丈夫だ」って太鼓判を押して、そいつも3回勝ち抜いて社員の前に出たんです。「ああ、これはもう大丈夫だ」と思っていたら、そいつまで落ちたんです。それで気付いたのが、僕が「大丈夫だよ」って言うと入れなくなってるんです。

―――不謹慎ですけど、面白いですね………

面白いですよ。
ただ、謎なんです。なんでダメなのかが。本当に面白い筈なのに、落ちる。

僕が相談に乗った相手で「お前入れるよ」って言うと駄目になってしまう。だから、これからサンミュージックにお世話になろうっていうか、ネタ見せに来てる後輩には、「頑張れ」としか言ってないです。「頑張れ」ならセーフかも知れない。

―――まだ分からないですよ、それは。「大丈夫」でも2組は落ちてますから。

僕ら行けますかね?」って聞かれても、頑張れしか言ってないです。僕が何か言うと落ちちゃうから。いや、もう、本当にこれからが心配ですよ。

―――また後輩がオーディションに落ちてしまったら教えてください。

そうですね。
そうならないことを祈ります。

―――長い時間、ありがとうございました。