話のオチの付け方とお笑いの上で重要なポイントとは?

話のオチの付け方とお笑いの上で重要なポイントとは?

オチとは?

「オチ」とは、一般的に物語の結末のことを指す言葉です。「これまでの出来事は、実は夢だった」というお話に使われる「夢オチ」が好例でしょう。起承転結という考え方があるように、あらゆるストーリーには納得感のある終わり方が求められます。小説や映画などはもちろんですが、日常会話でも同じことが言えます。「オチ」があるかないかが、その話の面白さを左右すると言っても過言ではありません。

「友達と待ち合わせをしていたけど、時間になっても来なかった」という話があるとします。メールでやり取りをして、家を出て駅に向かい、友人を待つという一連の流れをただ話すだけでは、何も面白くはありませんよね。「待ち合わせに友人が来なかった」というのも、単なる事実であり、オチにはなりません。

しかし、この話に「午後3時に待ち合わせたつもりが、相手は午前3時と勘違いしていた」という要素が加われば、「深夜に相手から『今どこにいるの?』と電話が掛かってきた」というオチが生まれ、脈絡のない話から笑い話へと変化させることができるのです。

オチの作り方

オチは「起承転結」でいうところの「結」に相当しますが、話にオチを付けることで得られる効果は、必ずしも「最後に聞き手を驚かせられる」ことだけではありません。オチを使うためには、話の流れを組み立てたり、伏線を用意したうえできちんと回収する必要があります。つまり、オチのある話というのは、必然的に「聞きやすい話」「最後まで知りたいと思わせる話」になりやすいのです。

笑い話ではなくとも、オチのある話をすることによって、相手を自分の話に惹きつけることが可能なのです。では、どうやって話にオチを付ければいいのか、ここからは「オチの作り方」について考えてきましょう。

1.面白かったことは最後に持ってくる

普段生活する中で、たとえば「タワシを散歩している変人がいると思ったら、自分の父親だった」「コンビニでお釣りだと思って受け取ったら、お経が書かれたおはじきだった」など、強烈な体験をしたとします。

こういったエピソードはすぐに他人に話したくなるものですが、上記のように、面白い部分だけをまとめて話すと、意外と味気なくなってしまいがちです。こういった場合、本当に話したいこと・面白いと思った出来事については、オチとして最後に持ってくるのが効果的です。

前者の話であれば、「会社の先輩の買い出しを頼まれて、駅前のコンビニに行ったんだよ」とその日の行動から話し始めてもいいですし、あるいは、「俺の父親、めちゃくちゃ厳しい人でさ」と、後の行動とは似ても似つかない父親の厳格さについて言及してみるのもアリです。「今すぐに話したい!」という気持ちをグッと堪えて、面白かったことは最後に持ってきましょう。

2.伏線を回収する

それまでは分からなかった何かが明らかになったり、関係がないと思われていたふたつの出来事が結び付いたりすると、多くの人は納得感と驚きの入り混じった心地良さを感じるものです。「伏線回収」は、その心地良さの最たるものと言えるでしょう。

(1)とも共通していますが、オチに繋がるような材料を話に散りばめ、最後に開示することで、一本道の話だとしても格段に深みが出ます。

タワシの話の場合、会話の序盤に「最近、近所で変質者が出ると噂になっている」「やけにグッタリしたプードルを引き摺り回しているおじさんがいるらしい」などの伏線を貼っておくことによって、最後に「実は父親だった」「実はタワシだった」と明らかにし、聞き手に驚きを与えることが可能になります。

3.意外性のある出来事

物語として一貫性がなくても、出来事として意外性や面白さを含んでいれば、それ自体をオチにすることが可能です。「出オチ」と呼ばれるタイプの結末が、これに相当します。ただし、出来事自体がかなり面白い話でない限り、オチだけをいきなりぶつけてしまうのは難しいでしょう。

(1)や(2)との合わせ技で、結末に至るまでの流れを整備したうえで披露するのが効果的です。また、意外性の部分が自分にとってだけではなく、聞き手にもきちんと伝わるものでなくてはなりません。

「フリ」とは何か?

話における「オチ」を理解するうえで、切っても切り離すことができないのが「フリ」という考え方です。お笑い芸人は「前フリ」と言ったりもします。「オチ」が起承転結における結であれば、「フリ」は起承転の3つに相当します。

簡単に言えば、オチを際立たせるための準備のことです。登場人物を紹介する、状況を説明する、伏線を張る、オチに至るまでの道を整備することでフリを作ることができます。もちろん面白いオチも大切なのですが、それを劇的に聞かせるためには、前段階としての話の流れ、フリのなめらかさも肝心です。

フリとオチは両輪の関係で、どちらか片方が欠けても、聞き応えのある話にはなりません。オチと同様に、フリにも一定の考え方が存在しています。ここからは、フリを使ううえでの注意点について説明していきます。

1.意外すぎるのはNG

多くの人は、自分の予想範囲内で驚きを楽しみたいものです。意外性は好まれますが、それがあまりに突拍子もないものだと、そもそも話に入り込むことができず、オチまでじっと耐えられなくなります。「驚かせたい」と気持ちは分かりますが、あくまでも聞いている側がオチを推理できるようなフリが大切です。応用編になりますが、「Aかと思わせておいて、実はBだった」というような、最後に裏切るような話の流れにできると、聞き手は推理を楽しんだうえで驚きを味わうことができます。

2.分かりやすすぎてもNG

少し(1)と矛盾してしまいますが、聞き手にオチを推理してもらいたいとはいえ、途中でオチが読めてしまうと、やはり話に対する興味を失わせてしまいます。あまりにも分かりやすすぎる前フリは逆効果になってしまうのです。面白い話は報告書やレポートではないので、必ずしも1から10まで全て話してしまう必要はありません。情報を小出しにしたり、必要に応じて伏せたりして、聞き手を「ほんの少しモヤモヤした状態」に置きましょう。そのモヤモヤが、「話の結末を知りたい」という欲求に繋がるのです。

3.長すぎもNG

確かに前フリは大切ですが、長すぎるのも考えものです。聞き手が飽きてしまうのはもちろんですが、あまりにも長い前フリをすると「これだけもったいぶっているのだから、めちゃくちゃスゴいオチがあるのだろうな」と、相手のハードルが高くなってしまいます。フリが長い人は、分かってもらえないかもしれないという不安がある人や、細かいことを説明するのが好きな凝り性の人が多いです。前者の場合は、誰かに話す前に一度自分の中で起承転結を整理することで、不安を克服できるはずです。後者の場合は、本筋とは関係のない細部までこだわり過ぎると、聞き手の集中力が分散して、オチの効果を弱めてしまうということを心に留めたうえで情報の取捨選択を行いましょう。

4.面白すぎてもNG

理不尽に思われるかもしれませんが、あまりに面白い前フリも、かえって話を薄めてしまいます。前菜でお腹いっぱいになると、メインディッシュに辿り着けません。それと同じように、フリとオチのバランスを考えなくてはなりません。長すぎてもいけませんし、面白すぎてもいけません。フリはメインディッシュのオチを際立たせるための存在、あくまでも脇役にすぎません。しかしながら、あまりにもつまらないとオチに辿り着く前に聞き手が興味を失ってしまうので、適度な面白さは必要です。このバランスが理解できるようになれば、どのような話にもフリとオチを付けられるようになります。

まとめ

「オチ」とは、必ずしも笑い話だけの考え方ではありません。聞き手の興味を持続させて最後に驚かせるという技術は、お笑い芸人のみならず、サラリーマンや起業家にも必要なスキルです。起承転結を意識しながら、自分の話で他人をあっと言わせてみましょう。

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