お笑い・漫才のネタを面白くするには? ネタの作り方から笑いを生む要素まで徹底解説

お笑い・漫才のネタを面白くするには? ネタの作り方から笑いを生む要素まで徹底解説

お笑いのネタとは?

テレビ番組ではリアクションやトークで観客の笑いを誘うお笑い芸人ですが、彼らが本当に得意としているのは漫才やコントなど、「ネタ」を用いるお笑いです。演芸としてのお笑いには、ネタが必要不可欠になります。

ここで言うネタとは、漫才におけるやり取りやコントにおける台詞などの総称です。たとえば漫才の場合、当然ながら適当に喋っているだけでは笑いを取ることは難しいです。
そこで、あらかじめ「どのような話をするか」を台本として作り、それに基づいて漫才を行っていくのです。この作業は、俗に「ネタ作り」と呼ばれます。

お笑いのネタの考え方

お笑いのネタは「いかに観客を笑わせられるか?」を念頭に置いて作られますが、ただ面白そうな話題を詰め込めばいいというわけではありません。どんなにラストシーンが面白い映画でも、最初の5分がつまらなければ観る気をなくしてしまいますよね。

それと同じように、漫才の場合は、観客の興味を惹き続けて、しっかりと話を聞いてもらったうえで、笑いのツボを刺激しなくてはならないのです。ここからは、どのような流れでネタを作っていけばいいのか、考え方について説明していきます。

1. テーマを決める

漫才は「面白いフリートーク」ではありません。
コントのように自分とは違う役柄を演じたりはしませんが、漫才師として、作り上げたネタを高い完成度で披露する演芸です。ただ自由に話すのではなく、選んだ題材を元にしてやり取りを繰り広げていきます。

つまり、漫才のネタを作るうえで最初にやらなくてはいけないのが、「テーマ」を設定することです。「どのようなテーマだと、面白い会話のキャッチボールが生まれそうか?」を、自分なりの切り口で考えていきましょう。

「自分が並ぶ時だけお釣りを渡さないコンビニ店員がいたら?」「今度合コンに行くから、あらかじめ練習がしておきたい」「帰省した時に親戚の子供に舐められないようにしたい」など、シチュエーションはいくらでも思い付きます。それらの中から、自分が話を膨らませることができそうなものを選び、ネタの土台にします。

2. 流れを作る

テーマが決まったら、次は「会話の流れ」を作っていきます。
ここで言う流れとは、必ずしもストーリーである必要はありません。

漫才はコントのように「お芝居」ではないので、仮に話の筋が通っていなくても、聞いている側が飽きずに興味を抱き続けられるような「流れ」が存在していれば構いません。「会話の流れ」と聞くと難しく感じてしまうかも知れませんが、普段の会話と同じように、話の順序や時間経過に従って話していくことによって流れが作れます。

たとえば「今度合コンに行くから、あらかじめ練習がしておきたい」というテーマのネタであれば、まずは席に座るところから始まり、自己紹介、乾杯、趣味や職業などについて話す、定番の山手線ゲームなど、テーマに沿った順序を簡単に作ることができます。

3. ボケとツッコミのポイントを決める

「テーマ」と「流れ」がしっかりと作れたのであれば、ネタの骨組みはほぼ完成したと言えるでしょう。しかし、忘れてはならないのは、お笑いにおけるネタにとって最も重要なのは「いかに観客を笑わせられるか?」だということです。

「今度合コンに行くから、あらかじめ練習がしておきたい」というネタを例にしましょう。
テーマが決まり、会話の流れも定まりました。しかし、今のままでは、ただ単に合コンの予行演習をしているだけになってしまいます。
一応は最後まで話を聞いてもらえるかも知れませんが、笑ってもらうのはかなり難しいでしょう。

お笑いとして成立させるためには、会話の流れの中に「笑いどころ」を作る必要があります。
漫才における「笑いどころ」とは、ボケとツッコミの応酬に他なりません。

先ほどの合コンのネタであれば、自己紹介の際に「じゃあ、志望動機を教えてください」「面接官かよ!」というようなやり取りを入れられます。
「合コンの練習」というテーマをさらに紐解いていき、「女の子がどんなことを言ったら面白いか?」「どんな場所で合コンをやっていたら笑えるか?」など、ボケられそうな箇所を徹底的に探していきます。ボケが思い付いたら、それにフィットするツッコミを考え、会話の流れに沿うように差し込んでいきます。

4. 導入部分を考える

先ほども少し触れましたが、映画において最初の5分間が大切であるように、漫才のネタにとっても、最初の数十秒が大切になってきます。

自分たちがこれからする会話の流れに乗ってもらうためには、観客に「この話はどうなっていくんだろう?」と思ってもらう必要があります。たった4、5分の漫才でも、最後までしっかりと聞いてもらうには、向けられている興味を持続させなくてはなりません。そのために重要になってくるのが「導入部分」です。

たとえば、「ミルクボーイ」の「お母さんが名前を思い出せない朝ごはんがある」という導入部分は、誰しもが「一体何なんだろう?」と最後まで目が離せませんよね。

上記の3までは、「こういう話をしたら面白いだろう」と主観的に作っていきますが、ここでは少し客観的に自分のネタを整理し、自分が観客だったら、最初に何を言われたらその話が気になってしまうかを考えてみましょう。

5. オチを用意する

ここまででも十分に面白いネタを作れますが、最後の仕上げとして「オチ」を用意できれば、漫才のクオリティーは格段に上がります。

寸劇であるコントの場合は伏線を回収するのが比較的簡単ですが、漫才だと、「男だと思って話していたら、実は女だった」「ずっと聞き間違いをしていた」などのオチをつけるのが難しい場合があります。漫才においては、一連のネタの中で最も大きなボケやツッコミがオチとして選ばれることが多いです。

いいボケを思い付いたのであれば、「これをオチにしよう」と先に決めておき、逆算しながら会話の流れを組み立てていくのも手段のひとつです。

お笑いのネタを作るにあたって必要なこと

絵や作曲と違い、お笑いのネタを作るのに画材や楽器は必要ありません。
書き留めておくためのノートとペン、今だったらスマートフォンにメモをすれば、他には何もいりません。やる気さえあれば今すぐにでもネタを作り始められますが、面白い漫才を考えていくためには、身につけておきたい要素がいくつか存在しています。

すぐにマスターできるものではありませんが、ランニングのように毎日こつこつと積み重ねることで成長に繋がります。

1. インプットを怠らない

面白いと思ってもらえるテーマを考えつくためには、日頃からネタになりそうな出来事に関心を向けておかなくてはなりません。

お笑い芸人の漫才を見ることはもちろん、映画や演劇を見に行ったり、喫茶店やファミレスで漏れ聞こえてくる会話に耳をすませるなど、漫才のネタに使えそうな素材は無数に転がっています。そういったインプットの数が増えていけば、そのぶんアウトプットも充実したものになっていきます。

ネタ自体だけではなく、ネタになりそうな出来事もメモ帳に書き溜めておけば、その時は何も思い付かなくても、後になってから「これとあれを組み合わせればネタになりそう!」という閃きが生まれるかもしれません。面白いネタを作るためには、誰よりも面白いことに対して敏感でいましょう。

2. ボケとツッコミをストックする

テーマだけではなく「ボケとツッコミ」も積極的にストックを作っていきましょう。

特定のテーマでしか活きないものもあれば、どのようなネタにも入れ込むことができる汎用性の高いボケも存在します。漫才の面白いお笑い芸人は、ボケとツッコミのバリエーションが豊富です。どのようなやり取りが面白さを生むのか、常に自問自答しながら様々な角度からボケを作り、その衝撃を上回るような切れ味のツッコミを考えてみましょう。

また、ボケとツッコミは、それ自体が流れを含んでいます。「自然な流れの会話を考えるのが苦手だ」という方は、ボケとツッコミの応酬をちゃんと考えられるようになれば、自然と会話の流れが作れるようになります。

3 .間(ま)を知る

不思議なことに、腹がよじれるほど笑ってしまうボケとツッコミでも、文字に起こしてみるとそこまで面白くはなかったりします。
絵本の読み聞かせも、ただ文字を棒読みするだけでは物語の感動が伝わってきませんよね。

漫才の場合も、声の大きさや調子や、ボケるタイミングやツッコミを入れるまでの時間差など、適切な配分が存在しています。お笑いでは、それらを「間(ま)」と表現します。

早口すぎては観客がついていけませんが、これといった理由もないのにゆっくりと喋っていては、不必要な混乱を生んでしまいます。ツッコミを入れるのが早すぎると、観客がボケの内容を理解する前に会話が先に進んでしまいます。

「ここが笑いどころなんだ」と観客に気付いてもらうためには、自分たちのネタにとって適切な間(ま)を把握していなければなりません。

まとめ

スポーツにおけるトレーニングのように、日々の積み重ねによって漫才の面白さは磨かれていきます。ネタ作りの考え方を踏まえたうえで、様々なテーマを取り入れながら、自分たちのセンスが光るような独自の漫才を作ってみてください。

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